シアワセ∞経路
第16章 あの日に戻れたら
「え……、目立つ?……でも、迷惑だったようでごめん」
やはり他の女の子が近づいていることを知らなかったようだった。
しゅんとしながら謝られる。
「ううん。私こそせっかく来てくれたのに、ヤキモチみたいなこと言っちゃって…」
ましてや、まだ彼女でもないのに……。
「でも女嫌いを克服しようとして思ったんだけど、大切な女の子が一人いれば俺はそれでいいかなって。
だから、周りなんて気にしなくていいよ」
偽りがないことが分かるほど、真っ直ぐに視線を向けられる。
あ……、もしかして私がソラの女嫌いを克服する手伝いを断った理由がこれなのかな。
その頃から大切に思って貰えていたんだと思うと、ますます顔が熱くなってくる。
「おーい。風子、大丈夫?顔赤いけど、風邪引いてる?」
「違うよ!それは……ソラが好きだからに決まってるじゃん…」
どう見ても健康体なのにからかってくるから、不意に思っていることが口に出てしまった。
この発言をした後、ソラが大きく見開いてから穏やかな表情で微笑んでくれて。
眩しすぎる彼を直視していられなくて、両手で頬を冷やそうとした。
でも、もうすぐ暑い夏がやってくるこの時期の手のひらは温かくて意味がなかった。