シアワセ∞経路
第16章 あの日に戻れたら
お互い別の方を見ながら、まだ人通りの少ない道を歩いた。
何を話したらいいんだろう。
ただ会う約束をしていただけで、どこに行くかも決めていないわけであって。
会えなかった時間にあった出来事を聞いてみる?
だけど、逆に聞き返されたらこっちは話すような楽しいことはなかったし。
寧ろ、話せない……。
頭の中で考えていることがぐちゃぐちゃになっている時に、この沈黙を破る助け舟をソラが出してくれた。
「学校楽しかった?」
「え…、あはは……相変わらずかな。楽しかったよ!」
楽しかったなんてお世辞でしか言えないけれど、良い空気を壊したくなくて強がってしまう。
「……嘘だよーって顔に書いてあるけど?」
「え…?どこ?いつの間に書かれたの」
一体誰に落書きされたんだろうと悔しく思いながら、適当に頬をごしごしと擦る。