シアワセ∞経路
第16章 あの日に戻れたら
「はは。実際に書かれてるわけないよ。何かあったんじゃないかって思っただけ」
前にも見透かされていたことがあったけど、そんなに顔に出てるのかなと不安になる。
これからは、心配されないように気を付けないと…!
高校に入ってからのことなんて、勉強が大変だけしかソラに話していない。
もちろん、佳菜美ちゃんが同じ高校で同じクラスになったということも。
「分かっちゃうなんてすごいなあ……」
「……昨日最初に見た時に悩んでそうだったから。なんとなく、そんな予感がしただけだよ」
私が感心している横で、静かに返事をしてくる。
「あ、でも嫌がらせされるのももう慣れたようなものだし。ひとりぼっちでも、大丈夫だから心配しないで」
「そういうのは慣れちゃいけないんじゃないかな。……強がらなくていいんだよ」
「え……」
「今見えている場所が、すべてではないし。一歩踏み出せば他にも選択肢があることを忘れちゃだめだよ」
「……!」
目に見えていることだけが、この人生のすべてで。
どうすることもできない居心地の悪い場所に耐えてきた。
暗く閉ざされていた目の前が、どんどん明るくなってくる気がした。
それと同時に、これから自分がどうしたいかも浮かんでくる。