シアワセ∞経路
第16章 あの日に戻れたら
「俺が見てたのは、お店の前に売り出されてたオーブントースターなんだけど。
前に風子の星座のラッキーアイテムであったよな。プレゼントして運気を上げる手伝いをしようかと…」
よく見てみると、宮藤さんが歩いていた辺りに小さな電気店があった。
そこにはオーブントースターを売り出しているのが見える。
なかなか良さそうな物が特売で2000円……!
うちのオーブントースターはかなり古くて焦げ付いているから、丁度いいかも……。
運気は、昨日から急上昇しているから充分なような気が……。
いやいや、今はそんな上手い話にのっている場合ではない。
「うう……。もうとっくに、そのラッキーアイテムの日は過ぎてるの!それに、いっ…いらない」
「冗談だよ」
「ソラが変なこと言ってるから、宮藤さんあんなに遠くに行っちゃったじゃん」
宮藤さんはこっちに気付かず、どんどん過ぎ去っていく。
まだ、走れば追いつくくらいの距離ではある。
もう一度、促すようにソラに触れようとしてみたけれど一歩もそっちの方に進む気配がなかった。
「話しかけに行くつもりはないから、気にしなくていいよ」
「え……」