シアワセ∞経路
第16章 あの日に戻れたら
「ごめんなさい……」
謝ってから唇を結んで大人しくしていると、いきなり頬を両手で優しくポンッと挟まれた。
「変なことばかり言ってると悪戯するぞ」
「うっ……」
そこから頬をつまむように触れられる。
ギュッと引っ張られると予想して、目を閉じてみるけど痛みは全くなかった。
あれ……、引っ張らないの……?
「まったく。俺が一番可愛いと思ってる人くらい、もう誰だか分かるだろ」
「……っ!」
「大体、海田がクラスで一番可愛いって言ってただけで俺にとっては違うから」
頬に触れていた両手がそっと離れて思った。
どうせだったら、そのままつねって欲しかった。
この時間が夢じゃないって言う事実を知りたくて。
「……これから一緒に来て欲しいところがあるんだ。いいかな?」
「え……」
「いろいろと誤解してるみたいだから、風子のことをちゃんと思ってるって証拠見せるから」
「えええ!?」
一体、どういうことなんだろう。
まさか、……人がいないところでキスとか?
いやいや、昨日の今日でそれはないよね……。
でも、男の人ならそんなのお構いなしなのかな……。
今までの経験……っといっても一回しかないから、その中で知ったことをぐるぐると考えてしまう。