シアワセ∞経路
第20章 After Story
「岡田さんも一緒に片付けてました」
「そうか、最近さぼってるやつもいるからな。ついでに汚いところがあったら、掃除しておいてくれ」
「はい」
先生が社会科準備室から遠ざかっていったのを見計らって、佳菜美ちゃんが声を掛けてくる。
「なんでかばったの!いい子ちゃんぶってるつもり!?」
「ううん。さっさと片付けたかったから」
「……っ。あいつサボると厳しいのよね。……むかつくけど、その……ありがと……」
最後の四文字はギリギリ聞き取れるくらい、小さな声だった。
信じられない出来事に、緊張していた表情が緩む。
「うん」
初めてまともに話せて嬉しくて口角が上がる。
佳菜美ちゃんと仲良くなれていたら、こんな感じだったのかな。
上手くいったという時に限って、ここでの時間はもう少しで終わるんだ。
「この資料集、もっとあっちの方に置いてたはずよ」
「そうなの?」
窓側の近くを見てみると資料が沢山閉まってある棚があった。
佳菜美ちゃんの指さす方へと行くために、邪魔になっている道具をどかす。
もう少し……!