シアワセ∞経路
第6章 止まらない気持ち
ソラは、前にこの可愛い女の子と話せてすごく喜んでたもんね。
職員室前で会った以降、私は彼女を見かけるようなことはなかった。
またあの光景が頭の中で蘇って、胸が締め付けられて苦しくなる。
「……悪いけど、俺まだ携帯持ってないからなんかあったら海田に言って」
え……。何言ってるの……?
スマホ持ってるでしょ……?
「あっ、そうなんだ。分かった。二人ともじゃあね」
可愛い女の子は、忙しそうに走って行った。
友達が多いみたいで、また他の人にアドレスを聞いているようだった。
可愛い女の子が去って行ってから、私はソラに問いかける。
「ちょっと!せっかくのチャンスだったのに、なんであんな嘘ついたの!?」
「この子の言うとおりだぞ!宮藤さんと交換しないなんてもったいねー」
「ん?必要ある?」
「交換しておくだけでも価値があるというのに!って、あー……そういうことか」
海田先輩は私の方にやっと視線を送って、ニヤッと笑う。
「愛人がいるからか」
「なんだよ、愛人って……。この子は、幼なじみだよ」
「とかなんとか言っちゃってー。本当は付き合ってたり……」
「本当にそういうのじゃないんで」
恋人であることを強く否定して、これ以上つっこまれないようにした。
ソラに恋愛対象じゃないってことをまた言われるのが怖かったのもある。
颯太さんの言ったとおりじゃん……。
私は……ソラのことが……。
「なーんだ、つまんねーの。まっ、邪魔者は去るので後はごゆっくり」
テンションが戻ってきた海田先輩は、まだ賑わっている輪の中へと戻っていった。
「ねえ、ソラ。今日で卒業なんだし、海田先輩と一緒にいたら?
高校生になったら、なかなか会えなくなっちゃうんじゃないの」