シアワセ∞経路
第6章 止まらない気持ち
「あいつは同じ高校受けたから、多分これからも会うと思うよ。だから問題ない」
「そうなんだ」
沈黙の間ができるほど、場が落ち着いた気がする。
台風が過ぎ去っていったとは、まさにこのことだろうか。
それと同時に、宮藤さんと連絡先を好感しなくてよかったと少しホッとする嫌な自分がいた。
彼女でもないのに、こんなことを思うなんてずるい……。
最低だ、私……――
弱い自分を隠すように、話題を関係ないものに変える。
「そういえば、明後日に東高の受験の合格発表だっけ?」
「そうだよ。大丈夫だと思うけど」
「ソラなら絶対に合格してるに決まってるよ!」
「ありがとう」
転校してきて再会した時と比べて別人かってくらいに、爽やかな笑顔を向けられる。
まったく、この人は私の恋心ゲージを上げるのが上手で困る。
ソラは、私と離れるのをどう思っているんだろう。
私みたいに、寂しがってるような感じはまったく見当たらない。
他の卒業生のように浮かれてもいないし、いつもどおりだった。
「高校に行ったら、もう……今みたいに会えなくなるのかな」
中学生の私は、高校がどんなところなのか全然イメージがつかない。
中学よりは、遥か遠い存在に感じた。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。遠くの高校に行くわけじゃないんだし、今とそんなに変わらないよ」
「そうかな。ソラがいなかったら私は……」
――……またひとりぼっちだ。