
私と魔界の駐在さん
第1章 プロローグ
『深雪ちゃん大丈夫かい、怖い思いをしたねえ』
『どうして、どうして私だけこんな目にあうの?私なにか悪いことしたの?』
『なにもしてないよ。ただね、深雪ちゃんは奴らにとって何千人に一人のごちそうなんだ』
不思議なオルゴールでいっぱいの部屋で、おばあさんは言った。
『大丈夫、私がいるかぎり奴らもそう目立つことはできないからね。それに、私がここを離れても駐在がいる』
『ちゅうざい?』
『そう、駐在さんが悪い奴らをつかまえてくれるから、安心なさい』
その言葉を聞くと、いつも胸の苦しさがなくなった。
意味はよくわからなかったけど、誰も信じてくれない「変なもの」の話を聞いてくれるのはおばあさんだけだったから。
