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リトル・リトル・バンビーナ

第2章 僕はアナタに欲情してる。

女の子二人組は、
昼休みの終わりを告げるベルと同時に自分たちの教室へ帰ったらしい。

ようやく静かになった保健室。

美和子ちゃんは、カーテンから顔をのぞかせた。


「羽生くん、授業もうすぐ始まるよ?」

俺は、わざと寝返りをうって、美和子ちゃんに背を向ける。

「知らない」

美和子ちゃんはため息をついて、カーテンの中に入り、
ベッドの近くまでやってくる。

「もう。あんまりサボってちゃ、進級できないよ?」

自分でもただ機嫌が悪いだけだとわかっていたけど、

美和子ちゃんの言い方がひどく癇に障った。


なんで、俺を子供扱いしているような。

俺は所詮、生徒かよ。


「美和子ちゃん、結婚するなんて知らなかった」

「あっ……それは、その」

あれだけ大きな声ではしゃいでいたら聞こえるっつうの!

と思わず突っ込みたくなるような

美和子ちゃんのたじろぎっぷりに俺はますます苛立つ。

俺は乱暴に身体を起こすと美和子ちゃんを睨み付けた。

「馬鹿じゃないの。
ちょっと指輪の事ほめられたからってあんなへらへらして」

「……ごめん。
羽生くん寝てたのに、あんな大きい声ではしゃいじゃって」

申し訳なさそうに
頭をさげる美和子ちゃんは本当に素直だ。

けど、今はその素直さすら腹立たしい。


くっそ。ここで謝んな。


けど、歯止め利かない。
俺は八つ当たりでしかない暴言をぶつけた。

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