1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第7章 ――斎藤 梢 編――
この時間帯は帰宅ラッシュの為、駅に近いこの大通りは、普段の倍以上、人が溢れかえる。
流石に周りにこんなに人がいると、梢の恐怖もおさまった様だ。
「はぁ……はぁ……」
梢は立ち止まり、前かがみになると、膝に手をあて、呼吸を整える。
段々落ち着きを取り戻した梢は、携帯を投げてきてしまった事を思い出した。
『はぁ……あの携帯、この間やっと機種変してもらったのにぃぃぃ』
梢は取りに戻ろうか迷い、後ろを振り返る。
『あの路地に戻るのは嫌だしな……』
梢が諦めて駅に向かおうとしたその時――――――