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1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜

第7章 ――斎藤 梢 編――


『なんで!? なんで誰も助けてくれないのよ!?』

 走りながら心の中で叫び続ける。

 ようやく駅に着き、急いで改札口に入ると、もう一度女を確認するため、梢は素早く後ろを振り返った。

 後ろから追い抜く人達が、かなり邪魔そうに、梢を見ながら通りすぎて行く。


 ………………。


 目を凝らしてよく見たが、どうやら【あの女】の姿は見当たらないようだ。


『良かったぁぁぁぁ』


 梢はようやく恐怖から解放されて、嬉しさのあまり、泣き出してしまいそうだった。

 それと同時に、疲れもドッと押し寄せてくる。

 今度追いかけられても、もうあんな風に走る体力は残っていないようだ。

『早く帰って、お風呂に入りたい……』

 梢は疲れた体をひきずりながらホームに向かった。

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