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『ないっ!　ないっ!　ここにもないわっ!』

　明らかに香織は動揺していた。

　確かサイトには　“動揺しないでください”　と書かれていたが、今の香織にはそんな心の余裕などない。

　動揺というよりは、家に帰る前に探し出さないといけないという、焦りみたいな感情に近かったのかもしれない。

　１階から２階に至るまで、思い付く限りの場所は探したが、ぬいぐるみは見付からなかった。

　もしかしたらと、庭や物置小屋まで足を運んだが、無駄な行動だったようだ。

『こんなに探しても見付からないんだもの……。きっとこの家にはもうないんだわ……』

　とうとう香織は探すのを諦めてしまった。