1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第8章 成功
しばらくすると、タクシーは神谷町駅の目の前で止まった。
「はい、着きましたよ。何か電車普通に走ってるみたいだねぇ」
運転手がお金を受け取ろうと、初めて後ろを振り返り、香織に話しかけた。
その声に敏感に反応した香織は駅の方に視線をうつした。
確かに運転手の言う通り、駅には何台もの電車が、ホームに出入りしているのが見えた。
事故なんて本当に起こったのだろうか? と疑ってしまうほど、特に変わった様子はない。
支払いを終えた香織は、小さく運転手にお礼を言うと、タクシーから降り、とりあえず駅に向かって歩き始めた。
被害者が梢なのか、違う人なのか、それとも千里なのかは、遅くとも明日学校に行けば分かる事なのだが、香織はどうしても今日中に知っておきたかった。