1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第8章 成功
「あぁ……その事なんだけどね……その……確かに腕は見たんだけどさ……顔は見てないんだよ……」
駅員は再びしかめっ面に戻ると、何だか言いにくそうに話す。
「えっ……それって……どういう……」
香織はそう言いながらも、駅員の話しにくそうな表情から、その被害者がどんな風に亡くなったのか何となく想像はできた。
「うん……凄い衝撃でぶつかったみたいでね……つまり……顔と腕はかなり離れた場所にあったんだよ……」
駅員は香織に気を使っているのか、身体がバラバラになったという言葉は使わず、かなり回りくどく話す。
それでも香織は十分想像できたようで、口をハンカチで思わず覆うと、
「そうですか……色々有り難うございました」
と言い、丁寧に頭を下げて、その場から去って行った。
「ちょっ!! 君っ!! だいじょ……」
急に慌ててその場から去って行った香織に向かって、駅員は話しかけたが、香織が後ろを振り向く事はなかった……。