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1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜

第9章 思い出



 しかし、こんな姿で家に帰ったりなんかしたら、今まで必死に隠してきた苦労が全て水の泡になってしまう。

 イジメをうけていた1年の間、何度あの暖かい胸の中に飛び込んで、幼い頃のように泣き叫ぶ事ができたらいいのにと夢見たことか……。

 けど、学校から帰る度に見せてくれる、あの微笑みを失うと思うとできなかった。

 静江の微笑みは今の香織にとって、唯一のオアシスだから。

 まっすぐ家に帰る事を諦めた香織は、まずこの顔についた泥と、ぐしゃぐしゃの髪をどうにかしようと帰り道にある公園に向かった。

 そう、あの幼い頃の思い出の公園へ。

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