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1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜

第9章 思い出



 今日も午前中からいい天気で、身体を動かしていなくても、汗が吹き出してくるような暑さに無性に腹がたった。

 噴水に近づくと、水が風に乗って霧状の粒になり、心地よく香織の身体を包んでくれた。

香織は何だか嬉しくなり、思わず立ち止まると、幼い頃のように手を広げながら噴水に向かって走り出していた。

 最初は噴水のそばにあるトイレに行き、泥を洗い落とそうとしたが、どうせ制服も汚れているし、代わりの服を買うにしたって、この状態で店に入る勇気もない。

 だったらこのままずぶ濡れになって家に帰った方が、友達とはしゃぎすぎたとか何とか言って、静江をうまいこと誤魔化せると思ったのだ。

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