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1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜

第6章 決行


 タクシーから見える景色は、高いビルばかり建つ都会の街並みから、徐々に緑の生い茂る懐かしい風景に変わっていく。

「久しぶりだなぁ」

 香織は子供の様に窓から顔を出し、外の新鮮な空気を浴びた。

「お客さん、高校生だよね? こんな時間に学校はいいの?」

 突然、タクシーの運転手が話しかけてきた。

「えぇ、学校は早退したので……両親と待ち合わせしてるんです」

 香織は嘘をついた。

「へ~、またまた遠い所で待ち合わせしてるんだなぁ。まっ学校サボれて嬉しいでしょ? ハハハハ」

 運転手は冗談まじりに話してきた。

「確かに午後の授業は、嫌いな教科ばかりだったので正直嬉しいですね」

 香織も負けじと冗談まじりに返した。

「お客さん面白いねぇ。最近の若者は、愛想がないからつまんないんだよねぇ」

 運転手はそう言うと、ニコニコ笑いながら香織に色々話しかけてくれた。

 ここ1年間、人とのふれあいに飢えていた香織は、久しぶりに心から笑って会話を楽しんだ。

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