
1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第6章 決行
タクシーに乗ったのは昼過ぎだったが、軽井沢に到着する頃には、もう夕方になっていた。
普通なら、3時間半も車に乗っていたら退屈するのだろうが、運転手との会話が楽しかったので、香織にはあっという間の時間だった。
「あっ、ここです」
と香織が言うと、
「こりゃまた大きなお屋敷だなぁ~」
と、運転手はホントにビックリしたように言う。
「そうですか? 父の趣味なんです」
香織は、母から渡されているクレジットカードを手渡しながら言った。
「へぇ~ 不景気だと言っても、あるとこにはあるんだなぁ~ オジサンも働かせてくれないかな? ハハハ」
運転手はカードを返しながら言う。
最後まで面白い運転手さんだなぁ~と香織は微笑み、
「ありがとうございました。楽しかったです」
と言うと、タクシーから降りた。
「こっちこそ楽しかったよ。ありがとう。 また機会があったら宜しくね」
運転手はそう言うと、被っている帽子をちょこんと上げ、車を走らせた。
