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「……、うめぇなぁ、本当」

　ごくん。
　喉仏が動いて、その後で裕翔が口を開いた。
　その、低くて甘ったるい声は、とても欲情に濡れていて、心無しか息も乱れていた。
　
　裕翔が僕に欲情していることは、裕翔の瞳をみれば分かった。その顔は、妖艶に微笑んでいて、今にも人を襲う――オオカミの様だ。
　だけど、それも僕にとっては媚薬のような働きをするもの。

　それでも、まだ羞恥心は消えていなくて。
　まだほんのりと頬を赤くしている僕の頭を、裕翔は優しく撫でる。
　そして、徐々に僕の顔へ近づいてくる。
　――僕の口が、口に侵入していく何かを感じ取った。それは、僕の口の中を自由に乱して、僕の息も乱していく。

　どちらも一度射精して、軽い酸欠状態に陥っているにも関わらず、濃厚な……接吻を交わす。
　たまに、涎が水音を僅かに立てる。
　その音と、裕翔の舌が僕の脳までを侵していく。裕翔とのキスは、脳が蕩けるくらいに甘い。
　舌を交ぜ合わせて、裕翔の身体にしがみついた。そうしていないと、キスで力が抜けてしまいそう。

　ふと、裕翔の手が、僕の身体を撫で始めた。
　身体のラインにそって、つぅーっ、と優しげな感じ。　
「ん……ふ、ぁっ」
　なのに、キスの合間に、小さな喘ぎ声が漏れてしまう。
　ただ、撫でられているだけなのに。気持ち良くて、喘いでしまう。