
身代わり妹
第6章 暗転
次の日は、朝から院長室に呼ばれていた。
「…ないっ‼︎ …美姫……っ……美優なんかっ……」
院長室の前に立つと、中から母の声が聞こえてきた。
私はドアを開ける事を躊躇し、ドアの前に立ちすくんだまま院長室内の会話を聞いていた。
「美優さんはこのまま入院させます。美姫さんと同じ病気かもしれない。そうなればこれから先、美優さんが働くのは難しい」
落ち着いた声。
凌太に少しだけ似ているこの声は、凌太の父親の院長先生の声だ。
「美優は元気です! 働けます! 入院なんてさせません!」
母にとっては、私が働かないのは死活問題だ。
一歩も引かず、大声を出して喚いていた。
「美優さんは9年間、あなたと美姫さんの為に身を粉にして働いてきた。体調不良もそのせいでしょう。2人の親であるあなたはその間、何をしていたのですか?」
静かだけど厳しい院長先生の声。
「私は美姫に付き添っていたんです! 美姫は1人では何も出来ないから!」
「29歳になった美姫さんが1人で何も出来ないのは何故かわかりますか? 親は先に死ぬんです。子供が1人でも生きていけるように世話を焼き過ぎるべきではなかった」
院長先生の言葉に、母は黙り込んだ。
「…ないっ‼︎ …美姫……っ……美優なんかっ……」
院長室の前に立つと、中から母の声が聞こえてきた。
私はドアを開ける事を躊躇し、ドアの前に立ちすくんだまま院長室内の会話を聞いていた。
「美優さんはこのまま入院させます。美姫さんと同じ病気かもしれない。そうなればこれから先、美優さんが働くのは難しい」
落ち着いた声。
凌太に少しだけ似ているこの声は、凌太の父親の院長先生の声だ。
「美優は元気です! 働けます! 入院なんてさせません!」
母にとっては、私が働かないのは死活問題だ。
一歩も引かず、大声を出して喚いていた。
「美優さんは9年間、あなたと美姫さんの為に身を粉にして働いてきた。体調不良もそのせいでしょう。2人の親であるあなたはその間、何をしていたのですか?」
静かだけど厳しい院長先生の声。
「私は美姫に付き添っていたんです! 美姫は1人では何も出来ないから!」
「29歳になった美姫さんが1人で何も出来ないのは何故かわかりますか? 親は先に死ぬんです。子供が1人でも生きていけるように世話を焼き過ぎるべきではなかった」
院長先生の言葉に、母は黙り込んだ。
