テキストサイズ

身代わり妹

第6章 暗転

「大学病院から返事を急かされていますので、美姫さんは月曜には転院して戴きます。

美優さんは、再来週から1週間の検査入院になります。

2人の為に、母親らしい所を見せてあげて下さい」


母が奥歯を噛み締めている姿が想像出来る。


高校を出てすぐに姉を産んだ母。

それ以来ずっと姉に付き添って病院内にいた母は、社会というものを知らない。


きっと、母は頼るだろう…

姉の恋人である…凌太に……。



院長先生の声が止み、相談室長の声が聞こえてきた。

姉の転院に関する事、私の入院に関する事の説明を受けている。

私の1週間の入院費と、姉の今月の秋村病院での入院費は、私の今月の給料から引かれる事になるらしい。


大学病院に移ってからの入院費について、母は相談室長に泣きついていた。


「大学病院での入院費に関しては、大学病院の相談室にご相談下さい」


そう言った相談室長に、母は思い付く限りの罵声を浴びせていた。



あまりにも酷い罵声の数々に、こんな人が母親だなんて恥ずかしいと初めて母を軽蔑した。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ