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身代わり妹

第1章 苦悩

母親は、姉が20歳を過ぎても、まだ24時間ベッタリと付き添っている。

度を越した過保護さのせいで、姉は自分で身の回りの事すら出来ない。

顔を洗うのも、歯を磨くのも、髪を梳かすのも、着替えも入浴も、母が姉の世話を焼く。


そんな母に愛想を尽かした父親は、姉が20歳になったのを機に離婚を申し出た。

私の親権は、姉の病気治療の為にも必要不可欠だと言い張る母親に渡った。


母と姉の荷物は、今まで暮らしていた家から出て、母方の実家へと運ばれた。

だが、私を不憫に思った父方の祖父母は私を追い出す事はしなかった。


父は、離婚を機に長年付き合っていた愛人と再婚し家を出て行った。

愛人に子供が出来た事もあり、そのうち父は姉の入院費を払わなくなった。

必然的に、私が姉の入院費を稼ぐ為に中卒で働く事になる。

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