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身代わり妹

第6章 暗転

コンコン

意を決して院長室のドアを叩く。

中から返事があり、私はドアを開けた。


こちらを向いてソファーに座っている院長先生と相談室長。

相談室長の顔はかなり引き攣っていた。


その向かいに座っていた母は、ドアの所で立ち竦む私を振り返り睨みつけた。


「このっ、役立たずがっ‼︎ 」


私に掴みかかろうとした母を院長先生が押さえつける。



「美姫ちゃんと同じ病気? 笑わせるな!

美姫ちゃんを生かす為にお前を産んだんだ! この役立たず!

お前なんか、産んで損した‼︎ 」



ズキンッ

心臓が重苦しい痛みを訴え、思わず押さえるように握り締めた。


「美優ちゃん? 大丈夫? 苦しい?」

院長先生の優しい声にハッとして首を横に振る。


ズキズキと痛むのは、母の言葉が悲しかったから。

発作じゃない……。

今だ痛みの治まらない心臓に、そういい聞かせる。


「美姫ちゃんの真似か? 同情買ってまで楽チンな入院生活をしたいのか⁈ 親に働かせるとかあり得ないな! この役立たず‼︎ 」

院長先生の腕を振り払おうともがきながら、まだ私への文句が尽きない母。



「……”親になる資格”……持たずに親になっちゃう人もいるんだな」

院長先生がボソッと呟くと、母はギロリとそちらを睨みつけた。



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