テキストサイズ

身代わり妹

第6章 暗転

今日もまた、

姉の病室からは甘い声が漏れる。


私が来る時間を狙っているんじゃないか……そんな事すら思ってしまう。


いつものようにドアを開ける事は出来ず、ドアの前で立ち尽くす。


怖くて確かめられないくせに、立ち去る事も出来ない。

聞きたくないのに、ドアの向こうの声に耳を澄ませてしまう。



「ああっ、凌太っ…もっとぉ、もっとぉ‼︎」


頭の中に、いつかの2人の姿が浮かぶ。

半裸の姉と、その胸に顔を埋める凌太。


(私は…身代わりだったんだから……)


もう諦めなきゃいけない。


(でも……最後にもう一度……)


それは、願ってはいけない事。

わかってる……。


絶対これで最後にするから……‼︎



『昼休みに当直室で待ってます』


凌太に向けたメールの送信ボタンを、祈るような気持ちで押した。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ