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身代わり妹

第1章 苦悩

「美優の頑張りに、カンパぁイ」

ハイテンションな由美さんに凌太と苦笑しつつ、グラスをカチンと鳴らし合う。


「美味しい♡ 由美さんのお料理、天才的ですね!」

小さい頃から度々ご馳走になるけれど、由美さんの手料理は最高においしい。

お手伝いがてら由美さんに料理を習ったのに、私は全然その味に近付けない。


「あんまおだてんなよ……」

苦笑しながらビールを飲む凌太。

上下する喉仏が妙に男を感じさせて、思わずドキッとする。

「─────…っ」

ドキドキと速まる心臓をギュッと掴み俯くと、凌太は心配そうに顔を覗き込んできた。


「美優? 大丈夫か? また発作が……」

「なっ、何でもないっ」

心配顔の凌太の言葉を遮り、胸から手を離し慌てて顔を上げる。

間近にある凌太の顔に、ドキっとまた心臓が大きく鳴った。


「無理すんなよ。美優は疲れやストレスが身体に出やすいんだから…」

ガシガシと、その大きな手で私の頭を撫でる凌太。

私を見つめるその瞳は優しくて泣きそうになった。

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