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身代わり妹

第7章 喪失

病院の受付へ走る。

美優と仲の良かった諸田さんは、席に座り涙目で携帯を握りしめていた。



「美優から連絡は?」

診察時間は過ぎていて、患者の集まり出した待合室に俺の声が大きく響いた。


「きっ…昨日メールが来て……っ……私、今朝気付いて、返事送ったんだけどエラーで……っ‼︎」

諸田さんの瞳から涙が零れ落ちていた。

「私がっ、すぐに気付けばっ……よかったのにっ‼︎」


─────違う…。

諸田さんのせいじゃない。

でも、それは言葉になる前に喉で突っかかる。



「……何て?」

絞り出した俺の声に、諸田さんが顔を上げた。


「何てメール来た?」

あぁ! と諸田さんは慌てて携帯を開く。


「これです!」

見せられたのは、美優らしいシンプルなメール。



『たくさん迷惑掛けると思うけど本当にごめんね』



─────何で……

誰が迷惑だなんて言ったんだよ?


─────何で……

何で俺には連絡もよこさないんだよ⁉︎



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