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身代わり妹

第7章 喪失

「やっぱり美優ちゃんに何かあったんだ……」

後ろからかけられた声に驚いて振り返る。


そこには、

悲しげな顔をした大山さんが立っていた。


「何で知って……」

俺が言い終わる前に、大山さんが俺の目の前に携帯を突き出した。


『昨日は無断で休んですみませんでした。工場のバイトを辞めさせて下さい。迷惑掛けてすみません』


─────美優?


「昨日、美優ちゃんから送られてきた。返事が送れなくて、心配になって朝早く来てみたんだが……」

いつもはハキハキと大きな声で喋る大山さんが、今日は覇気のない声でボソボソと尻窄みに喋る。



美優……

お前、こんなにいろんな人に必要とされてたんだぞ?



「あの花束の男は?」


不意に思い出す。

美優の誕生日に大きな薔薇の花束を送った若い男。

まさかそいつと?



「……俺には何の連絡もない……」

泣きそうな顔をしたそいつが現れた。

「電話もメールも通じなくて、美優に嫌われたのかと思って……でも…それよりも最悪な事が起きてるみたいだな……」



そいつの言葉に、全員が押し黙った。



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