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身代わり妹

第7章 喪失

はぁー…

今日何度目かわからないため息と共に、

今日何度目かわからない携帯チェックをする。


多分、

美優の父親も、

大山さんも、

諸田さんも、

花束のあいつも、

皆、同じ事してるんだろうな……。



今日最後の外来患者の診察を終え、俺は受付へと向かった。

もう居ても立ってもいられない。

俺に気付いた諸田さんが、パソコン画面から顔を上げ携帯を見た。

そしてすぐ、首を横に振る。


はぁー…

また、ため息が零れる。



「凌太っ!」

一足先に自宅に帰っていた母が、慌てた様子で走って来た。


「これ、美優から送られてきた」

引っ手繰るように奪った封筒。

駅前の郵便局の名と昨日の日付が押印されている。


祈るように裏面を見れば、記載されていたのは寮の住所と美優の名前だった。


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