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身代わり妹

第1章 苦悩

"医者として言ってる訳じゃない"

じゃあ、幼なじみとして?
それとも……姉の恋人として?


小さい頃から、
『お姉ちゃんのものはお姉ちゃんのもの。だけど、私のものはお姉ちゃんのもの』
だった。


私の身体…
心臓でさえも姉のものなのだと、母は平然と言う。


姉は私のものを当然のように奪う。

クリスマスや誕生日に祖父母に買ってもらったオモチャも
「美優は外で遊べばいいんだから、オモチャはいらないでしょ?」
と悪魔の笑みで奪われた。

父親が買ってくれた服も
「ブスな美優より、可愛い美姫が着た方が洋服が喜ぶ」
と奪われた。

由美さんが誕生日のお祝いにくれた、時計も…装飾品も…化粧用品も……。

目に入った物は全て奪われ、隠していた物もどこからか聞きつけて奪う。


毎日毎晩お母さんを独り占めしているくせに、
そのせいでお父さんとも会えなくなって、
私はいつも一人ぼっちだったのに……。


それなのに、
私を孤独から救ってくれた凌太を─────…。


凌太までもを……奪っていった……。



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