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身代わり妹

第8章 本心

「…いつ…移植?」

話すのも苦しいのだろう。美姫の息は上がっている。


「……移植?」

まさか美姫まで……


「美優の…心臓…もらうの……」

「は?」

「…それで……美姫は…元気になる……」



─────本気で言ってんのか?

健康な人間の心臓を取り出す…

それが何を示すのかわからない訳がない。

美姫もその母親も本気で美優を殺す気なのか?



「……それは、無理だよ」

声が震える。


そんな恐ろしい事を平然と言える奴らだったなんて…

そんな恐ろしい事を平然と美優に言っていたなんて……


今まで、美優はどんな想いをしてきたのか…

どれだけ傷付き、涙を流したのか……。


美優を1人の人間とは見ていない。

こいつらには、美優の心も声も届いていなかったんだ。


わかっていたようで、

俺は美優の辛さを半分もわかっていなかったのかもしれない。



「…っ何で⁈ 」

最後の望みだったんだろう。

美姫の顔がクシャリと歪む。



「美優はここにはいない。行方不明なんだ」


美優のお腹には俺の子がいるんだ。

こんな奴らの元になんて、絶対渡せない。




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