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身代わり妹

第1章 苦悩

だけど、幸せは長く続かない。



1年前、凌太が秋村病院に戻って来て、これからはずっと一緒にいられると私は浮かれていた。


しばらくして、凌太は姉の担当医となった。

「一目惚れ!」

姉が母にそう言った瞬間、一気に血の気が引いて息が出来なくなった。

凌太と付き合い始めてから治まっていたストレス性の発作が、また頻繁に起こるようになった。


入院生活の長い姉の趣味は人間観察。

その勘は恐ろしい程に鋭く、私と凌太の関係に、すぐに気付いた。



「美優は外の世界でいくらでも素敵な人を探せるじゃない⁈」

「そうよ、美姫ちゃんの幸せを考えてあげなさい」

私は理不尽に母と姉から責められた。


「付き合ってくれないなら治療は受けない! 死んでやる!」

「医者が患者を殺す気⁉︎」

凌太もまた2人から責めたてられた。



そして姉は、本当に一切の治療を受けなくなった。



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