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身代わり妹

第9章 再会

「でも……

凌太はお姉ちゃんが好きだったんでしょ?

あんなに…お姉ちゃんの病気を治すって一生懸命だったのに……」


身体中から力が抜けていく。

気付けば涙がまた頬を零れ落ちて行った。



「俺は……

美優を、美姫と母親から救いたかった。

そのためには美姫の病気を治すのが一番だと思って……」


凌太の優しい瞳に私が映る。

ゆっくりと私の涙を拭う凌太。



─────私のため…だったの?


でも……



「……遅いよ…」

「え?」

驚いて固まる凌太に指輪を返す。

「……もう…遅い……」


そう、もう遅い。


「中学出て仕事もなくて…私がしようとした事、覚えてる?

あの時、由美さんと凌太にあんなに止められたのに……

……私は……それをした……」


そう……私は、凌太以外の男に抱かれたのだ。

どれだけ後悔してもし切れない。

もう、綺麗なままの私じゃない。



「美優……それ…は……っ」

凌太の声は震えている。

身体も…震えてる。


それでも、

震える手で私を抱き締めてくれる。


こんな優しい凌太に…

私なんかは釣り合わない。


カーテンの向こうから、由美さんの泣く声が聞こえてきた。

私なんかの為に、涙を流さないで…


私は、

大好きな人達を裏切ったんだから……。



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