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身代わり妹

第9章 再会

凌太の怒りは収まりそうにない。


「自分で金も稼げないバカな母親が、金の使い方も知らない…感謝する事も出来ないバカな娘ばかりを溺愛して!

美優の気持ちを考えた事があるのか⁈

美優に感謝して、美優を大切に思ったことあんのかよ⁈

お前なんかに美優を悪く言う資格なんかない‼︎

汚いのは、お前と美姫の方だろっ‼︎ 」


そう言い切って、ハァハァと肩で息をする凌太。

思わずその背中を抱き締めた。



「凌太…もう…いいから……」


どんなに美化したって、真実は変わらない。

私は、身体を売った。

母から蔑まれるのは当然だ。





「……それが…凌太さんの本心?

だからあんなに簡単に美姫ちゃんを振ったの?」

凌太を睨み付ける母。


「振った……?」

凌太の背中に問いかける。


私を振り返った凌太は、私の手の中に先程返した指輪を乗せた。


「去年の美優の誕生日のすぐ後に買ったんだ。今年の美優の誕生日にプロポーズするつもりだった」

哀しげに揺れる凌太の瞳。


「俺は今でもずっと美優が…美優だけが好きだ。これから先も一生美優と居たい」


真っ直ぐに見据えてくるその瞳。

凌太の瞳の奥の芯の強さが、大好き…


私を光の方向へ引っ張ってくれる力強い腕も、

包み込んでくれる優しさも…


本当はお茶目で、少し子供っぽいところも……


こんなに穢れた身体になってもまだ、凌太が好きだよ。

大好きで、大好きで、苦しいくらいだよ。


言えない言葉が涙になって、ポロポロと頬を伝わり零れ落ちる。



「この指輪は、最初から美優の為のものだから…

美優以外に渡すなんて考えた事もないから…

だから美優……

頼むから、ちゃんと…考えて?」


凌太の指が私の涙を拭う。

優しい瞳に引き込まれて、気付けば私は頷いていた。


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