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身代わり妹

第9章 再会

コンコン

静かになった室内に、ドアを叩く音が響いた。


「失礼します。美優の荷物をお届けに上がりました」

───女将さんの声だ。

カーテンの隙間から、女将さんの顔が見えた。

私が寝ているベッドに、女将さんがやって来る。


「女将さん! ご迷惑お掛けして本当にすみません!」

「ホントだよ!

だから無理するなって口を酸っぱくして言ったのに!

でもよかった。顔色も良さそうだね」


ベッドに起き上がった私を、女将さんが抱き締める。


「凌太さんが旅館に飛び込んで来た時は何事かと驚いたんだよ? 美優の部屋に行けば真っ青な顔して唸ってるあんたがいるし、肝を冷やしたよ!」

「ご心配おかけしてすみません」

私は女将さんに頭を下げる。


「本当だよ! あんたはもっと他人を頼りなさいっ」

そう言って女将さんは私の荷物をベッド脇に置く。


明らかに多い荷物。

私の部屋にあった荷物が全て入ってるみたいな……。



「女将さんっ⁈ 私はここに帰るつもりはっ……」

「自分のためにもお腹の子の為にも、美優は今休まなきゃいけない」

私の頭を撫でる女将さん。


その優しい瞳は、やっぱり由美さんに似てる……。

気付けば、その由美さんが女将さんの隣にいた。



「美優がお世話になりました」

由美さんは深々と女将さんに頭を下げる。



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