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身代わり妹

第9章 再会

「気が利いて働き者で、出来れば若女将として育てたかったくらいです」


若女将⁉︎

驚いて女将さんを見つめる。

微笑んで頷いてくれる女将さん…

そんなにも私の事を買ってくれていたんですね。

目頭が熱くなった。



「そうでしょう? どこに出しても恥ずかしくない自慢の娘です」

由美さんの言葉が追い打ちをかけるように、私の涙腺を崩壊させる。


こんなにも…

こんなにも近くに、私を想ってくれる人がたくさんいたんだ。

本当に本当に、私は幸せだと思う。



「美優、限界にきて頼ったって事は…凌太さんがお腹の子の父親なんだろ?」

「─────…っ」

女将さんの言葉に、部屋の空気が変わった。


恐る恐る凌太を見れば、

何故か優しく微笑んでいる。

もしかして……知ってる、の?



「父親……?」

由美さんの声が震えていた。


私を見つめる院長先生と由美さんの視線に耐えきれずに俯く。

そして、咄嗟に首を横に振っていた。



「美優? ねぇ、本当に?」

私の前に座り込んだ由美さんが、私の顔を覗き込む。

これ以上、由美さんを裏切りたくない。

そう思うと涙が零れた。



「俺の子だよ」


一斉に凌太に視線が集まる。


「身に覚えがあるし、いつの事かもわかってる」



嘘……。

どうしよう……。

どうしたらいいの?


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