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身代わり妹

第10章 新心

「ねぇ美優……売春でいくら稼いだの?」

「は?」

落ち着かない呼吸をしながら、母を振り返る。



「そのお金はどこにあるの?」


─────またお金?

私に話しかける時はお金の相談ばかり。


「…はぁっ…由美っさんに…はぁっ…預けたっ……」

痛む胸を押さえ、息苦しさに耐えながら答える。


あのお金は、通帳に入れて由美さんに郵送した。

今まで迷惑掛けてきた分。

ううん、むしろ足りないくらい。



「あの婦長、自分のものにしたんじゃないの⁈ 」

「そんな訳っ……」


ズキンッ

心臓が痛い。悔しいのに言い返せないよ。



「はぁー…母親の私じゃなくてあの婦長に渡すなんてね! 親不孝者が!」

息を荒げ心臓を押さえて蹲る私を見下ろし、母親は冷たく言い放った。



「夕飯買ってくる。財布は?」

「は? ちょっ……」


ベッド脇に置かれた私の鞄から、母は財布を抜き出す。

由美さんに送った通帳へ送金する為に入れていた大金…

何の迷いもなく、母は財布の中のお札を全て抜き取った。


そして、

発作を起こし苦しむ私を放り、

振り返る事なく、母は病室を出て行った。


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