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身代わり妹

第10章 新心

母の事を夏実さんに相談する。

そして、退院して”家”でゆっくりしたいと…

夏実さんはすぐに先生に相談してくれた。



「産科医としては入院してくれてた方が安心だな。体調もあまり良くないみたいだから」


発作の事を言っているのだろう。

先生はあまりいい顔をしていない。


「でも、さっきナースステーションでみたからなぁ、美優さんのお母さん。凌太が連れて帰りたくなるのも納得の暴れっぷりだった」

先生が苦笑いする。


「……何かやらかしてますか?」

先生に恐る恐る聞けば、

「泊まり込むって看護師と言い争ってる」

見計らったかのように、廊下から看護師さんと揉める母の声が近づいてくる。


「付き添う!」

「付き添いは認められてません!」

「私に野宿しろというの⁉︎」


今は、病室のドアの前で言い争ってるようだ。

思わず眉間に皺を寄せてドアを見つめれば、

スッ…と、凌太がドアの前へ立った。



「ご自宅まで送ります」

ドアを開けた凌太が母に言う。


「あら? 美優の部屋まで送って下さるの?」

私の部屋?

あぁ、寮の部屋かな?

まだ居座ってたんだ……。



「ちょっと行ってくる」

そう言って私の頭を撫でる凌太を不安げに見つめる。


「お母さんの実家に届けてくるよ」

私だけに聞こえるような声で凌太は言った。


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