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身代わり妹

第10章 新心

16週目に入り、5ヶ月の検診に産婦人科を訪れた。


「うん、流産の危機は脱したね。もう安定期に入ってるよ」

そう言いながら、私のお腹にエコーの機械を滑らす先生。


「うわっ、指咥えてる‼︎ 」

先生の横に張り付き、エコー画像を覗き込む凌太。

その画像の中の赤ちゃんは、指を咥えていた。


「こいつ、甘えん坊だな」

先生がくれたエコー写真を食い入るように見る凌太に、先生と夏実さんと顔を見合わせて笑った。



「そろそろ胎動もあるんじゃない?」

夏実さんに聞かれたけれど、まだそれがどんな感じなのかわからない。

首を傾げる私に、先生はもうじきわかるよと笑う。


「そしたら絶対俺にも教えて!」

凌太が興奮して言えば、

「最初のうちはものすごくタイミングよく強い胎動がなきゃ、外からはわからないかもな」

と先生が笑う。


不貞腐れた凌太に、三人でまた笑った。




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