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身代わり妹

第12章 新人

「売春のお金は?」

─────っ平然と、よくそんな事が言える!

私のクローゼットから勝手に通帳を持ち出して、

返すつもりもなく、またお金の…しかも大金の無心……。


「お母さん、この前私の通帳持っていったよね⁈ 」

「あんたが姿消してた時の分だろ? まさか……身体売ってあんなはした金? 馬鹿げてる」


積もりに積もった気持ちを吐き出してやろうと思ったのに、母からぶつけられた言葉に固まった。


……はした金?

私がどんな思いで稼いだお金だと思ってるの?


……馬鹿げてる?

は? どっちが?


言いたい言葉はたくさんあるのに、悔し過ぎて言葉よりも先に涙が溢れ出る。



「……いくらですか?」

俯いた私の隣から低くて冷たい声。

なのに、抱き寄せられた腕は温かい。


「凌太さんっ」

母の嬉しそうな声。


─────やめて……。

もうこれ以上、凌太を巻き込まないで…

もうこれ以上、恥を晒さないでっ‼︎



「いくら渡せば美優の前から消えてくれますか?」


─────…っ⁉︎

凌太の口から出たとは思えない言葉に、驚いて顔を上げた。


「なっ……⁉︎ 美優を売れっていうの⁈ 」

必死で言葉を繋ぐ母も、驚きに目を見開いている。



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