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身代わり妹

第2章 嫉妬

駐車場で、車に乗り込もうとする大山さんを大きな声で呼び止める。


「大山さんっ、ごめんなさい。保険証返し忘れてしまって……」

ほんの少しの距離なのに、はぁはぁと呼吸が荒くなる。


「今夜渡してくれればよかったのに。わざわざありがとうね」

大山さんが受け取ったのを確認すると、げほげほとむせ混んだ。


「美優ちゃん、運動不足だな。大丈夫か?」

大山さんが苦笑いしながら背中をさすってくれる。


「すみませんっ、げほっげほっ」

咳き込みながらも、優しく背中をさすってくれる大山さんに笑顔を向ける。


「事務職は身体動かさないからな。今夜は俺と激しい運動しような」

バシバシと背中を叩かれて、ようやく咳が止まった。


「……激しくない方でお願いします……」

意外と重労働な工場での荷分け。

その中でも比較的楽な作業をさせてもらっている私。

日々の作業内容を決めるのは大山さんで、
その大山さんに"激しい運動"なんて言われると、かなりの重労働をさせられそうで本気で身震いした。


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