テキストサイズ

身代わり妹

第3章 解禁

(無理だよ……)

2人分の入院費は払えない。


「あの…っ」

「美優、入院費ならいらないから」


私が発しようとした言葉を察したかのように、由美さんが先回りしてそう言った。



「もし…入院する事になっても……お金はちゃんと払います。 

でも、もう少し…待って下さい……」


これ以上、凌太にも由美さんにも迷惑は掛けられない。



「美優…理由がハッキリすればそれなりの対応が出来る。検査するのは一日でも早い方がいい」

諭すような凌太の優しい声。


「わかってます……。

あの、父に相談してみます。

だから、入院はもう少しだけ…先に延ばして下さい……」


ガバッと勢いよく凌太と由美さんに頭を下げる。



「美優!」

由美さんが私の身体を抱き寄せ、キツくキツく抱き締められる。


───涙が…溢れそうになる。

苦しい……。


私は弱い。

こうやって抱きしめられれば甘えたくなる。

でも、これ以上甘えたらダメだ。

今以上に働いて、どうにかお金を貯めるしかない。



このままじゃ、

凌太にも由美さんにも、当分恩返しなんて出来そうにない。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ