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身代わり妹

第3章 解禁

寮に帰り、姉と母の洗濯物を洗濯機に突っ込む。

いつか由美さんが持たせてくれたおかずを解凍して、簡単な夕飯を取る。



(どうしよう……)

帰って来てからずっと、

携帯のディスプレイには、”お父さん”の文字とその携帯番号が表示されている。

その状態のまま、もう何十分と悩んでいた。



今は再婚し、新しい家庭を築いている父。


私の父と母は高校の同級生で、卒業式にはもう姉の美姫を妊娠していたらしい。

若干19歳で親となった2人。

母はバイトすらした事のないまま、28年間を姉の付き添いで病室で過ごし、今年で48歳になる。


同級生の父は、

39歳で離婚・再婚、

再婚相手との子供は3人いて、一番下の子はまだ3歳だったと思う。


年に1回、私の誕生日にはプレゼントを用意してくれる。

それも、なけなしのお小遣いを貯めて用意しているのだと祖父母から聞いた。


そんな父に、今更姉の入院費を頼める訳もない。


ため息を吐き、私は携帯をベッドに投げた。



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