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身代わり妹

第3章 解禁

"凌太は美姫の病気を治すために医者になったんだよね"

今朝の姉の言葉がグルグル回る。



いつから2人は知り合いだったのだろう。



姉が初めて秋村病院に入院したのは、由美さんと出会った時…姉と凌太が10歳の時だ。

あの頃の凌太は反抗期の始まりで、医者にはならない!とよく言っていた。

高校に入った頃には、凌太は医大を目指して勉強してた。

って事は……中学の頃?



(─────そんな昔からお姉ちゃんの事が……?)


気付けば涙が溢れていた。

ずっとずっと、私はお姉ちゃんの身代わりだったんだ……。



(馬鹿みたい……)


初めての恋に浮かれてた。

私に向けられていたと思っていたあの眼差しは、私を通してお姉ちゃんを見ていたんだ……。



「馬鹿みたい……」


私は顔を覆い、声を押し殺して泣いた。

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