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貴女の希望に応えます

第2章 朔夜への指名・玩具編

電話で客が来たのを確認すると入り口に出迎えにいく。

「いらっしゃいませ。指名して頂き有り難うございます」

営業口調でそう言い、頭を下げる。
こうすれば大体、向こうから顔を上げるように言ってくるんだが……。
何故か、一向に声を掛けてくる気配のない今夜の客。

おかしく思いながらも、そういう趣味なのかと思い更に数十秒待ってみる。
だが、やはり声を掛けられることはなく流石に苛っとした俺は顔を許可なくあげると言ってやった。

「おい、いつまで人に頭下げらせてるつもりだ?」

怒気を含みつつそう告げ、客の顔を見れば、モジモジと俯く女がいた。
背丈も低くスタイルも普通な女は到底19には見えず幼い印象に思えた。

「ご、ごめんなさい。その、声かけるタイミング分からなくて……」

耳を澄ませて何とか聞こえるくらいの声で言う女を見て俺は思った。
本当にコイツ、アブノーマルが望みなのか? と。
だが、口に出すことはせず、言葉を交わすのも面倒になり強引に腕をとり例の部屋へと向かった。

まぁ、何にせよすることは決まってるし。
時間も無限じゃないんだ。

そんなことを考えている間に部屋の前につく。
俺は、ポケットから鍵を取り出しガチャリと音を立ててドアを開けた。

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