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開花

第1章 ―

 ホースの先から細かい線となって出てくるお湯で、念入りに背中を流しながら、わたしはさっきのカエルはなんだったのだろうと考えました。

 まさか、勇敢にも人間に立ち向かってくるカエルがいるだなんて、思ってもいませんでした。

 ましてや、あんなふうに、人の上に乗って狂ったように跳ねるなんて。

 あのカエルは、はっきりとした敵意をわたしに向けていました。

 そしてもっと気がかりだったのは、やっぱりあの白い卵のことです。

 どうして服を着ていたのに、わたしの背中にびっしりと卵が産みつけられていたのでしょうか。

 それにいつ、そんな時間があったのでしょうか。

 カエルはわたしの背中に乗った際に、ずっと跳びはねていたので、卵を産む時間のあったはずがないのです。

 そして何より、カエルは水の中に、透明のホースに包まれた卵を産むのでは?

 たしか理科の時間にそう習ったはずなのです。

 考えれば考えるほど、頭の中がパニックになってきました。

 そしてわたしは、カエルはどこかへといってしまったのだし、卵は全て取り除いたのだから、もう深く考えるのはよそうと、結論づけるのでした。

 早くこの気持ち悪い事件のことを、忘れてしまいたかったのです。

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