
甘い蜜の―――……虜。
第2章 初めての一人暮らし。
「うわっ……」
部屋の奥から出てきたのは、180cmはあるデカい男。「デカッ……」思わず、本音が漏れた。
男は見下ろすように俺を眺め、口を開いた。
「……ちっさ」
フッと小さく笑いながら、黒い眼鏡をかけた男は吐き捨てるように言った。
イラッと来た。しかし、反論は出来なかった。この男からすれば俺なんか小さいだろうし、何よりヘタレの俺にこんな大きい男に文句を言う勇気等なかったからだ。
「で……お前、誰だ」
冷たい目線で此方を睨みながら男が早口で言った。
確か……大家さんが、右隣の奴はオオノ、って言ってたっけ。
「俺は西野恋。隣に引っ越して来たモンだよ」
「あっそ……レン、か。漢字は?」
「……恋愛の恋。だけど」
「へぇ……可愛い名前」
「うるせぇよ! 可愛くねぇし!」
俺はオオノを上目に睨みつける。
彼の表情が全然怖くない、そう語っているように思えた。
「で。恋は何した訳。勝手に人ん家にあがりこんで」
「あ? 挨拶に来ただけだよ。
ノックしてもアンタが出ないから、入っただけ」
吐き捨てるように告げると、オオノは一層冷たい目をし睨んできた。
その目に睨まれたら、たとえどんな不良でも凍りついてしまうような気がした。
勿論俺は一瞬で固まった。捕らえた獲物を逃がさない、獣の目が俺を見つめていたからだ。
部屋の奥から出てきたのは、180cmはあるデカい男。「デカッ……」思わず、本音が漏れた。
男は見下ろすように俺を眺め、口を開いた。
「……ちっさ」
フッと小さく笑いながら、黒い眼鏡をかけた男は吐き捨てるように言った。
イラッと来た。しかし、反論は出来なかった。この男からすれば俺なんか小さいだろうし、何よりヘタレの俺にこんな大きい男に文句を言う勇気等なかったからだ。
「で……お前、誰だ」
冷たい目線で此方を睨みながら男が早口で言った。
確か……大家さんが、右隣の奴はオオノ、って言ってたっけ。
「俺は西野恋。隣に引っ越して来たモンだよ」
「あっそ……レン、か。漢字は?」
「……恋愛の恋。だけど」
「へぇ……可愛い名前」
「うるせぇよ! 可愛くねぇし!」
俺はオオノを上目に睨みつける。
彼の表情が全然怖くない、そう語っているように思えた。
「で。恋は何した訳。勝手に人ん家にあがりこんで」
「あ? 挨拶に来ただけだよ。
ノックしてもアンタが出ないから、入っただけ」
吐き捨てるように告げると、オオノは一層冷たい目をし睨んできた。
その目に睨まれたら、たとえどんな不良でも凍りついてしまうような気がした。
勿論俺は一瞬で固まった。捕らえた獲物を逃がさない、獣の目が俺を見つめていたからだ。
