それでもきっと
第1章 油揚げ
なら、と俺はやや小さめの窓に狙いを定めた。
「気は進まないが、飯のためだ」
そう言い聞かせるように呟くと、近くに埋まるようにして転がっている大きな石を窓に叩きつけた。
窓は豪快に割れ、俺が入れるだけの穴が空いた。
破片で傷をつけないように助走をつけて飛びこんだ矢先に、目に入ったのは床にばらまかれた油揚げ、油揚げ、油揚げ。
人もいないしこれは嬉しい展開だ、と思い油揚げに手を伸ばした。
その瞬間、白く細い手が油揚げへと伸ばす俺の手を封じるように添えられた。
「うわっ」
思わず手を引っ込め 手の主を確認した。