天然小悪魔な妹とヘタレな俺
第9章 ~両親の帰宅、そして日常へ~
「あら、起きてたの?」
「ああ……」
危機一髪、凛音を布団の中に押し込み、俺はその膨らみを誤魔化すため膝を立てた。
「あら、凛ちゃんは居ないの?」
「は?」
「ほら、いつも凛ちゃんは慎ちゃんを起こすのが日課でしょ? ふたりしてなかなか起きて来ないから」
バクバクと、心臓が早鐘を打つ。
「凛ちゃんもまだ寝てるのかしら」
「かもな……俺が後で起こしに行くよ」
「そう? ならお願いね」
母さんは、のほほんとした笑顔を残しドアを閉めた。
思春期の息子を持つ母なら、部屋を開ける前にノックをして欲しいと、切に思った今日頃ごろだった。