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天然小悪魔な妹とヘタレな俺

第12章 ~いもうと~


「慎之介、ちょっといいか?」

 夕食後、珍しく父親が声をかけてきた。

「なに?」

「これをお前に渡しておく当面の生活費だ。必要なものはこれで買いなさい」

「わかった」

 父さんはテーブルの上にキャッシュカードをおいた。

「……慎之介、何か欲しいものがあるのか?」

「何で?」

「バイトの時間を増やしたそうだな。お前たちには無理をさせてばかりだ。少しぐらいなら融通を利かしてやるぞ?」


 ……俺の欲しいのは……それじゃダメなんだ。


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